Sunday, January 10, 2010

松本清張

先日より松本清張の短編集を読み始めた。最近の傾向がわからないので、ついつい名が通っている作家の本ばかり読んでいるこの頃だが、はずれが少ないのも確か。

松本清張、兎に角、凄い。面白いし、上手い。今まで読んだ作家らの短編の中で一番面白かった。
この短編集は宮部みゆきが選んだ短編集ということで、色んなジャンルの話があり、その中で松本清張の幼少の頃の自伝も入っていた。彼は北九州で貧しく、愛薄く育ったようだ。
ふと、井上靖の幼少期の自伝的小説、「しろばんば」と比べてしまう。しろばんばは爽やかだけど、松本清張のは暗かった。井上も松本同様、祖母の愛情を受け育ち、兄弟、両親とは縁が薄い少年時代であったようだ。が、井上靖は静岡の海の近くで、のびのびと育ち、つつましくも貧しくなく育ったのが良かったのだろうか、バンカラで爽やかだし、笑いもある。松本清張のは深く暗い。
両氏とも、同時代に生まれ、2年の違いで共に芥川賞を受賞して、共に多作で知られている。

よく、子供時代の記憶、体験が後々の性格形成や人生への向かい方に影響すると聞く。井上靖の小説と松本清張のを比べると、本当にそんな気がした。井上靖の小説はやるせない話でも爽やかであるが、松本清張は重く深く、暗いような予感がする。また、井上靖は普通の外見だったが、松本清張はかなりすごい顔立ちだったことも、性格形成、ついては作風に影響していたかも。

松本清張、ちょっとこれから凝ってみようかと思う。

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