Sunday, September 23, 2012

遊び人

金曜日に日本で最初にカリフォルニアワインの輸入を始めたワイン商の主人のご接待によるワインパーティなるものにご招待いただいた。ワイン通なら泣いて喜ぶようなワインを惜しげもなくバンバンふるまって頂き、といっても私は殆ど飲めないので味の素晴らしさは伝えることができない。しかしおどろいたのは、ワイン毎に合う食べ物を次々と出してくださり、それが全くもって素晴らしい味でワインにぴったりだということだ。関サバ、イカ(塩と生姜醤油それぞれ)、ミンククジラの舌、サザエであえたパスタ、平貝、若干燻したフォアグラ、ヴィシソワーズと、どれもびっくりする程のおいしさである。
江戸時代に遊び人とは、自分では遊ばず人を徹底的に遊ばせる人のことを遊び人といったらしいが、ご主人はまさに遊び人。ワインに詳しくない私でさえ、ワインに絶妙にあう素晴らしい食材のお蔭で、こういうワインの楽しみかたが世の中にはあるのかと感動した。ちなみに場所は都心から車え30分程はなれたところで、その会社のワイン倉庫になっているビルの中の本当の隠れ家的な場所である。ご主人はあらゆる業界の人に頼まれて、人目のつかない会食場所としてこの隠れ家を提供しておられるようで、政治家、経済界、文化人など多くの有名人がこの場でいろんな話を決めたきた歴史があるそうだ。商人というのは、こうやって他人を喜ばせる力が必要なのだとつくづく思った。

Friday, September 21, 2012

Pilates

今朝は市民センター主催のピラテス教室に行ってきた。今日が2回目なのだが、朝の9時からこんなことのできるのは、専業主婦か、ご隠居さんか、起業家もしくは自営業か。どれにも当てはまりそうな老若男女が1時間半ヒーヒー言いながらコアを鍛える。これで、腰痛と背中の凝りがなくなるといいなと、期待する。



帰り際に友人二人と立ち話をする。偶然にも二人とも、義理の両親・片親が遠方から訪ねてきているそう。面白いことに、夫たちは親が来ると微妙に変化するらしく、それに腹が立つという。サンディーは、朝のコーヒーに牛乳を加えるのを常とするのだけれど、いつもは、小さなクリーム用の器にいれて、そこからカップにいれるのに、夫は突然一つ抜かして、牛乳瓶から直接ついで来たのがよろしくない。リンは、話している最中に途中で割り込まれるのが嫌いなのを知っているのに、夫が突然バンバン割り込んでくるという。些細なことではあるが、いらだつのがわかっておもしろい。親がいると昔の自分に戻るのだろう。しかも、親の後押しを暗黙に受けているという強気な行動がでるのだろう。いくつになっても、親の影響力は凄いと思う。

Saturday, September 15, 2012

偶然

数日前に、ある方から「スミレのように踏まれて香る」という本を送っていただいた。著者は1927年生まれの渡辺和子という人で、現在85歳でノートルダム清心学園理事長をしている女性である。この本は元は1970年の書かれたエッセイで、今年40年以上たって新たに文庫化されたのだそうだ。平日は目を通す時間がなく土曜になったら読もう、と思っていたので、土曜日の今日、お昼過ぎからこの本をペラペラとめくり始めたところ、つけっぱなしにしていたテレビから丁度彼女のインタビュー番組が始まった。インタビューによれば、彼女は子供の時に226事件で自分の目の前で父親が殺される一部始終を見ていたらしい。その後、母親の反対を押し切って敵国の宗教であるキリスト教の洗礼を受け、それ以降キリスト者として教育者として働き続けていることを知った。驚いたことは彼女が85歳という年齢とは思えないほど、話を論理的に展開させ、語彙が豊富で、使う言葉が美しく、抑制的でありながら説得力があり、一時間にもわたりよどみなく話をされ、一瞬も退屈することなく真剣に聞き入った。今日の彼女があるのは、訓練の賜物だと思った。彼女の人生もまた戦争に翻弄され、病気も経験し、山あり谷ありである。しかしながら、この年にして、こんなにも知的で凛とした人格を持ち合わせているのは、どう考えても偶然でなく、日々の訓練の賜物に違いないと思った。彼女の本を幸運にも送って下さった方がいて、偶然にも彼女の姿を見ることができ、もちろんこの偶然を大切に活かすことが重要なのはわかっているが、これがまた実行に移すのが難かしいのである。偶然をチャンスに変えるのも訓練だとはわかっているのだが。