こんな素敵なタイトルの本を読んだ。最近のマイブーム、桐野夏生の本である。
素晴らしかった。出だしから、最後のあとがき(解説)まで、読ませる読ませる。作者を伏せたら松本清張かと思うような社会派ミステリーである。
舞台は60年初期、オリンピック前の東京である。桐野氏は51年生まれらしいから、この時代は少女として金沢の美しい風景の中にいたはず。なのに、この戦後高度成長期を生きたかのような描写でもう唯々シャッポーなのだ。トップ屋と呼ばれた一面の話題をすっぱ抜くジャーナリストの設定もよし、プロットも、そして爽やかで哀しいロマンスも、もう全て良い。
解説は井家上隆之氏が書いているが、コレも良い。すなわち、この本を読むと、高度成長期の「60年代を追体験」させてもらえて、それが「現代の閉塞感から内へ内へ向かう」傾向を突き崩したくなる、「よし、だったらやってやろうじゃん」ってハッパ掛けられる勢いがあるのだ。
そして、こういう作家がいるんだ、って知るだけで、世の中捨てたものじゃない、って思える。
いやぁー創造するって、ホントに素晴らしいですね。(水野晴朗風に)
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