Saturday, June 5, 2010

沢木耕太郎 深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン


どこかで、誰かが「沢木耕太郎が好き」というのを見かけて以来、誰だっけ?どんな作家だっけ?と頭に引っかかっていました。
未だに思い出せないのですが、とりあえず、手にとって見たのがこの「深夜特急」の最終巻。面白かったら一巻から読もう、と思って後ろから始めました。

そうなんです、私、推理小説でも、そうでないのでも、すぐズルして、最章を覗き見して、「よし、そういう結末なら読もう」とか、「ハッピーエンドなら読む」とか、ケチ臭いんです。

さて、この深夜特急、よかったです。爽やかだし、旅情が伝わってきて、「私もこんな気ままな旅にでてみたいな」と思わせるような筆運びです。

ご存じない方に簡単にご説明すると、
【内容(「BOOK」データベースより)
インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗合いバスで行く―。ある日そう思い立った26歳の〈私〉は、仕事をすべて投げ出して旅に出た。途中立ち寄った香港では、街の熱気に酔い痴れて、思わぬ長居をしてしまう。マカオでは、「大小」というサイコロ博奕に魅せられ、あわや…。1年以上にわたるユーラシア放浪が、今始まった。いざ、遠路2万キロ彼方のロンドンへ。】

1994年に出版され、バックバック旅行人気を煽った本との事。わかります、読む人を旅人にしてしまう。旅行苦手な私でさえ、歳とってまた一人になったら、こういう気ままな旅行してもいいなぁ、と思ったくらい。

・・・でも本当は、そう思ったのは5分だけでした。

実際に一人で、本の「僕」見たいに、イベリア半島の端の岬に立っている自分を想像したのです。何十年か先、夫に先立たれ、一人になっている自分が岬に立っている。何を思うか、やはり、夫のことや、巣立っていった息子達のことを想うのでしょう。一緒に来たかったって想うのでしょう。岬に立つ老いた自分の、皺だらけの目から涙が滲む、フラッシュバックのようにそんな映像がまぶたに浮かびました。居た堪れない想いでした。

一人旅って、楽しめる人と楽しめない人がいるって、本にもありましたが、私は残念ながら後者であることを確認しました。

20歳の時の一人旅もただただ寂しくって、その分誰かと合流する時はいい気なっちゃって、「旅」を認識することなく終わりました。

そして今は家族がいる。一回家族を持ったあとに、独りになるのは、若いときに一人だったときより、もっと悲しいことのようにしか思えません。こんなこと情けないこと言っていて老後どうするのでしょう。とりあえず、夫に長生きしてもらわないと。

とにかく、こんな私は、「僕」のような気ままでワクワクする一人旅を経験すること、今までもなかったし、この先も、もうできないんだ、ということを知ったのでした。

若い方、フリーの方、是非今のうちに一人旅を楽しんでください!この本をお供にすること、お勧めしますよ。

2 comments:

  1. 確か、大沢たかお主演でドラマ化されていたような・・・

    1人でイベリア半島の岬に立って・・・・きっと素敵なご家族なんだろうなと思いました。お子様達の手が離れたら、だんな様に留守番頼めば、1人旅なんてきっとすぐできますよ!
    これからこれから。1人旅の途中で、だんな様を呼び出しちゃうのいいかもしれない。

    旅っていいですよね。非日常だからか思い出がしっかり残るって感じで。

    父を最近亡くしたのですが、父と出かけた場所にいくと鮮やかに当時を思い出します。そして、行きたいねと言っていた場所に、いつか行く機会があったらきっと横に父を思うのでしょう。

    なんだか旅に出たくなりました。

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  2. そうか、夫を死なせずに一人旅もできるのですね。留守番ですね。嬉しい、それなら私もめそめそしない一人旅できるかも。

    そうそう、それです、ドラマ化されたってWikにありました。

    お父様の行きたかった場所、行かなくちゃ。そう思います。

    びすこさんのメッセージ読んでいたら、なぜか頭の中で、聖子ちゃんの、「Oh Milky smile 抱きしめて♪」というのが頭の中で始まりました。「貴方の腕の中で旅をする~♪」だからかな?一応「旅」というのだけは関連しているようで。

    パリは30分前に雷・嵐ですごかったのですが、今、晴れてきました。虹が見えるかもしれません。PCの時刻は午前9時42分とあります。

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