今日のパリは久々の快晴でした。
青々とした空に、何故かいわし雲。日本ではいわし雲と言えば秋の気配なのが、フランス、イギリスでは年中現れます。
テュルリー公園を抜けるとき、ふと振り向くと新緑+青い空+エッフェル塔という、初夏のパリそのものの構図がありました。デジカメを忘れてしまって、残念至極。明日も来ようかな。そしたら写真を撮ってアップをしますね。
今日は仕事関連での外出でした。初めて会う方、どんな服装をしようか、と考えた結果、紺色のパンツに白いトップ、そしてコットンのジャケットとなりました。私なりのキーとしては、素足に履いた革の紐靴。これは日本では近年、石田純一がエスタビリッシュしたスタイルとも聞いていますが、この春のパリではちょっとしたブームだったと認識しています。歯医者の待合室の雑誌でそんなスナップ写真を見たときから、ちょっとやってみたいと思っていました。
ま、こんな至って普通の格好は私らしいな、と行きのバスで一人悦に入ります。そして、こんな「私らしい格好」で仕事に出られることに、感慨深いものを感じました。
思い起こせば、大学のときの就職活動に遡るのでしょうか。あのころは銀行系なら紺色、そうでないのならベージュのスーツでなくてはならない、そんな風潮の中、太い足が一段と太く見えるようなタイトスカートに履きなれないパンプス型の黒い靴。そして梅雨時なのにストッキング!似合わない、暑苦しい、辛かったこと!
そして、各社のOGを訪れて話を聞くと、
「そうね、面接では、できるだけ家族円満を匂わせることね。そして、社会事情にも興味は持っているけれど、頭でっかちに聞こえないように話すの。例えば、今なら消費税についての質問が多いようだけど、『その必要性は理解していますが、やはり、母と買い物に行ったときなど、3%(当時はそうでした)の、家計への重みを感じます』って答えると、『ああ、この子は新聞は読んでいるんだな、で、家庭的なんだな』って好感持たれるのよ」
とコツを教えて頂いたことなどが、走馬灯のように思い出されます。
あの頃は母と買い物なんて行くような環境ではありませんでしたが、「そうか、そういう家庭の暗さは隠すのね」と、「隠すこと」をモットーに面接をこなしたものです。
そして次はNYでの金融界。
朝、電車を降りると、髪は朝シャンが乾いていない、ごっつい身体にだっさいスーツ、足元はジョギングシューズ、肩からは決まってコーチのレターサイズ以上のかばんにパンパンの書類、そんなキャリア・ウーマン達がベーグルを噛み千切りながら歩く姿に、「逞しい!」と圧倒されつつ、自分も真似してみたりして。
張ったりの世界、というのを聞きかじり、肩を張ってみたけど、そんな自分が情けなかった30代の入り口でした。
ロンドンでも銀行。
ここではもうちょっとシックに、スーツを着こなしてみましたが、何か違和感あるんですよね。
そうそう、飛ばしてしまいましたが、最も似合わなかったのは新卒のスチュワーデス時代の制服です。最初の年は超ダサい、首絞めまくる旧デザインの制服でした。
「うわっ、似合わねぇー!」と同期に笑われたこと5分間。
そのあと、もうちょっと普通なテーラードジャケット風のになり、マシになったかと思えば、同じ同期に「あんたは、(非常事態の訓練時に着る)つなぎが一番似合うと思う」と。えぇ、私もそう思いました。
社風に至っては、「自分を殺す」これがキーだったように、若干被害者意識を持っていました。
ところが、退職してから、何回「やっぱり元スチュワーデスさんですか、そんな感じですよね」と言われたことか。不思議!自分のカラーを消していた、消されていたように思っていましたが、実際には重なっているところもあったってことでしょうかね。
今日は、私らしい格好で、私らしい話をして、お会いしたお二人も素敵な方で、刺激的な会話で盛り上がりました。
隠さなくてよい、気張らなくてよい、自然体でよい、こういう風に働きたい、痛切にそう思った帰りのバスでした。
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