Sunday, June 20, 2010

Economist誌のお悔やみページ

テレビも繋がず、新聞も購読していない我が家、せめて世界の常識をインプットしようと英国のエコノミスト誌を購読して早何年です。毎週金曜日にポストに投函される、その薄い見てくれとは裏腹に中身が多くて、読みきれないほど情報満載。内容も経済というよりは世界情勢、アカデミックな動き、書評など、何でもござれ、です。

その中でも、私が楽しみなのはOrbituary(お悔やみ)ページだったりします。

楽しみというのは間違った表現かもしれません。でも、毎週届くと最初に見るのが紙面最後のページの「今週のお悔やみ」です。

90パーセントの確率で、知らない方の死の報告です。そして、エコノミスト誌より、その方の偉業を学び、間違いを知り、感銘を受けます。

エコノミスト誌が嫌いな人(多くの場合、それは世界が忌み嫌う人です、アパルトヘイト推進者とか、旧SSとか)に対しては厳しいです。そういうところも偽善的ではなくていいと思います。それでも、「人生の悲劇」を主演させられた悲しさといった死者への優しさも忘れない。そんな文章に救われます。

エコノミスト誌が好意的な方の死だと、「英語ってこう使うんだ!」って思わされるような、実に感動的な言い回しで、且つブリティッシュ・ユーモアをまぶして、敬意を払います。
そういうところも好きな理由のひとつです。

ある一人の人間の死、悪い人でも善人でも、週の終わりにこう、「確認する」というのでしょうか、この行為は正しいことのように思われます。歴史というパズルの、時間軸の1ピースですものね。

さて、今週のお悔やみは23年に渡ってエコノミスト誌の副編集長をした方のものでした。いつもの三倍、三ページを使ったところも、エ誌の、この方へ対する敬意を感じられて、義理人情の「昭和の女」のワタクシ、気に入りました。

また、写真の人がよさそうというか、歯抜けで間抜けな笑顔の故人の顔も気に入りました。
縁の下の力持ちを演じ続け、謙虚に生きたという解説もいいです。

そして、この方、62年に日本を訪れ、世界でいち早く、「日本の経済パワーに注視せよ」と日本の力を認めた方らしいです。
そのころの日本は「戦争負けたけど、見てろよ」というネガティブ・パワーと「一から出直しだ!」という前向きパワーの相乗効果で凄かったのでしょうね。「英国の三倍の効率で稼動している」と故人が報告したそうです。
東京オリンピック前の日本、体感してみたかったです。

歴史は川の水のように流れていく。
すがすがしく「死」を受け止め、放流する、そんなお悔やみページです。お勧めですよ~。

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