Friday, April 22, 2011

晴耕雨読

先日、千葉県の旭町に行ってきた。旭町と言えば千葉で津波被害が最も大きかった地域であるが東京から車で1時間半程度で着いた。旭町に行った理由は、友人のRちゃんが、旭町で大松農場という大規模農場を経営している大松さんという面白いおっさんと最近知り合いになったから、遊びに行かないか?と誘ってもらったせいである。この農場は100年続く農場で日本では珍しく10ヘクタールを所有している。千葉で10ヘクタールと言えば何億円もの資産価値である。そう、大松さんは単なる農家ではなく、資産家なのだ。農場に着くまでは、大松さんはテレビに良く出てくるような気のいい農家のおっさんだろうと勝手に想像していたが、実際の大松さんは、農家のイメージを裏切るように、農場内に自分の書斎件事務所件秘密基地みたいな部屋を構えている、ちょっとした研究者という感じである。部屋の中は天井まである本棚にぎっしりと本が詰まっていて、しまい切れない本や書類が部屋の隅に山積みになっている。よく評論家の家がテレビに映ることがあるが、あんな感じである。大松さんは、私達がソファに座ると、その直後から、とうとうと話を始め約2時間話し続けていた。いや、こちらから話を止めなければずっと話していたに違いない。もちろん、話の中身は面白かったのだが、感動するのは、知らない相手に2時間も話を続けられることである。年を重ね70近くになってから、何時間も話し続ける気力、話題の豊富さ、ああ言えばこう言う理屈っぽさ、に圧倒された。老人を見ていると、こういう老人になりたい、というタイプの人と、こういう老人にはなりたくない、というタイプの人がいるが、大松さんはもちろん前者にはいる。理由は、自分で生産手段を持っていて食べることに事欠かないから依存心が低く、自分の興味のある分野の研究・読書に明け暮れ、若い人が来たら議論をしたり教えを垂れたり、ビジネスマインドも忘れないから世の中のことにも大いに興味を持ち続けている。まさに晴耕雨読を地で長年続けてきた結果出来あがった人格ではないか。年をとったら何もやることが無くなって寂しいなどというのとは真逆の人。どういう老人になるのが理想かは、まだわからないけれど、晴耕雨読を貫いている、という年の取り方は結構理想に近いような気がした。

2 comments:

  1. 面白い方がいらっしゃるんですね。
    如何に自分がユニークな経験・キャラかを競うフランス人気質にうそ臭いものを感じている身としては、千葉県富農のおじさんに一票入れたい気分です。生き方、思い出、出会い、別れ、感動、毎日、ページのめくり方、こういうことが、その人のキャラになっていくのですね。

    夫は、何かにつけて、これからは農業の時代が再来するだろう、って言ってます。Soraさんの農業活動に興味津々です。

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  2. soraさんの農業活動、本当に楽しみです。この理想に着実に近づいていますね。
    そして、年をとっても突き詰めたい何かあって、自分で食べていける状態は最高です。天井までのぎっしりの本棚のある部屋もいいです。
    世の中にまだまだ知り得ないものがたくさんある、というこの喜び持ち続けて行きたいなと思います。

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