Saturday, November 20, 2010

奥泉光という作家

とある方よりご紹介頂いた奥泉光と言う作家、ご存知ですか。
最近では、「シューマンの指」というのが評判とのこと。
私が入手したのは、15年ほど前に芥川賞を受賞した「石の来歴」というのと、野間新人賞を受賞した「ノヴァーリスの引用」という本、どちらも子猿の日本語補修校の図書館で借りました。パリっていいところでしょ。

石の来歴、詳しくはこのリンクを見た方が私が説明するよりよっぽどお分かりいただけるでしょう。読んだあと、「こんな力強い話を、今に媚ない方法で書く人がいるんだ!」という感動の余韻がしばし。アマゾンをみたら、「新しいタイプの恐怖小説」とあって、あらまぁ、人の受け取り方とは何とそれぞれなのでしょう、と思いました。私には恐怖小説度0、ミステリー度30、人間度70の話だったのに。


ノヴァーリスの引用
は、冒頭が「死後の世界とは存在するのか、死とはどんな体験なのだろうか」という万人が興味を持っているだろう命題について、研究者らが酒を飲みながら話す、という、超そそる入り方。それがやがてミステリーになるのですが、クライマックスのところで、キーパーソナリティの一人が日本人と言うものを実によく表現している台詞を言います。長いので引用できませんが、私なりの解釈は、
「思想は明日を信じる、改善するためのものだが、あなたたち(日本人)は現実にどう自分をフィットさせるか、と言う目的といて思想を使う。何も信じない人々に、現実しか信じない人々に、思想も夢もへったくれもない」と言うことと理解しました。
言い得て妙だと思いませんか。

星の数ほどある本の中で、こういう秀作を書く人に出会えた喜び。
皆さんも面白かった本、作家、教えてくださいね。

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