この週末は不思議な縁からフランス有数のシャトーに滞在した。それも招かれてもないのに。
発端は・・・金曜日に別荘に出かけた。金曜夕方の出パリ・ラッシュはすごくって、通常の倍の時間を掛けて到着。日は既に落ちている。車を降りて背筋を伸ばす間もなく、家の鍵が見つからないことに気づく。探偵小説好きな夫は、強盗のごとく、鍵を開けることにチャレンジすること一時間。子供達は冷たい闇の中、砂で御飯を作っては、私に食べさせようとする。ようやく、夫もあきらめ、合い鍵を持っている庭師に連絡するが、応答無し・・・。ガ-ン!
さて、庭師の電話番号を教えてもらうべく、同じ庭師が働く、この町の旧城主様に問い合わせた際に、「もし、鍵を入手できなかったら拙宅に泊まるように。」と優しいお言葉。夫家族と城主様は親しいのだ。ホテルは満室だし、お言葉に甘えることになった。4歳と2歳の野性猿を連れてお邪魔するのは本当に気がひけるのだが、そうでなくても敷居が高いこと、棒高飛び級なのだが、車はお城に向かう。
お城、すごい!大きな門が開くと、シンデレラ城が見える。ベンツ、ジャガーなど、高級車が沢山停まっている。パーティーをしているようだ。どうしよう!それでも重いドアをノックすると、執事が迎えてくれる。すぐに城主さんと黒いドーベルマンが歓迎してくれて、迷路のような城内、客室に案内してくれた。城主妻、イザベルは、「パーティー、もうすぐ終わるから、それまでくつろいでいて」と優しい。坊主達は魔法に掛けられかのだろうか、と思っていることだろう。「イザベルはプリンセスなの?」と聞く長男。「ノン、伯爵夫人だよ。」と真面目に応える夫が何だか可笑しい平民の私。
翌朝は、広大な敷地内をイザベルと散策する。植物が大好きで、それ関係のイベントを主催している、という。気さくで、スポーティーな方である。
丹波産にも負けない巨大で美しい栗を拾ったり、川を渡ったり、何時までも終わりがない敷地をドーベルマンと歩く。我が野性猿は「ここはフォンテーヌブローなの?」とその広大な森を、自分が知っている広大なものと一所懸命リンクさせていて、何だか泣かせる。確かに庭はフォンテーブロー城のより素晴らしいかもしれない。ふと、こんな所で暮らしていると、ここまで俗世間と繋がりのないところで生活していると、時間軸が狂うというか、気がおかしくなるのではないか。城主様家族が、この、ちょっと孤独な影を持つイザベルが、小生のような血統書付きの中流階級とは別の世界観を持っていることを願う。
広いダイニングルームで、これまた大きな、大きなテーブルを囲んでの昼食を終え、義両親の別荘に戻る。庭師が鍵を開けてくれていた。暖炉に火をくべて、皆でお茶を飲む。開口一番、夫と共に、「あぁ、疲れた!!!」
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