うちの隣のおばちゃんは、有名大学の法学博士で弁護士。そのくせ、アル中で運転すること数回で服役までしている。4人の男の子を持ち、元夫とは10年前に別れた。そんな彼女は運転免許を取り上げられたので、時折用事のついでに運転手を務めるのだが、なんだかかわいそうである。話をすると、頭は切れる。人生どんな苦渋をなめてアルコールにおぼれたのか知らないが、気の毒なのは、そんな母親をかばい、そして憎みながら育った息子たちである。
ついに、彼女の家は競売にかけられ昨日はした金で売りたたかれたらしい。庭掃除をする私にそう話しかけて涙をながした。いつまでに家を出てどこに行くの?ときくと、わからないという。ショック状態なのだろう。息子さんたちは引越しの手伝いをするけど、親子の関係は今ひとつのようで気の毒である。近所のおばちゃんが車が通らないと文句をいうと、ついにストレスに耐えかねたのか息子さんが言い返し、売り言葉に買い言葉。10回もリハビリに行った母親の引越しの手伝いをしているのに、当の母親が殴るける、そんな僕らに少しは同情をしてくれ、と怒りと悲しみをこめて近所のおばちゃんに訴える。本当に気の毒だ。
優しそうな息子さんだねと話すと、母親は、時々優しいけど、昨日は祖父母の写真を家から放り出し、祖父のお棺にかけた国旗もゴミ箱に捨てたひどい人だという。聞けば聞くほど、息子さんがかわいそうになる。自分の世界に浸る母親の相手は大変だろう。そんな彼女もわが末っ子にはとても優しくてスクーターをくれた。息子はスクーターを試して、図書館にいくと、ばったりそのおばちゃんにでくわしたらしい。ちゃんとヘルメットかぶっていたよ、かわいい子だね、と涙の合間に微笑む。昔はきれいで幸せな人だったのだろう、と思わせられる微笑だ。今日は人生で最悪の日というときに、そんな微笑のできる彼女に希望を与えたいが、この国は厳しい。福祉制度があまりない。健康でお金持ちに向いた国で、弱者にはとても冷たい。
タイトルの諺、初めて聞きました。Jubiさんの通知表がAll「よくできました」だったことを思い出させられます。
ReplyDeleteこの話は本当にかわいそうですね。子供達は何歳くらいなんでしょう。今は人生が反面教師時代なんだ、いつか純粋に楽しめる時代も来るんだ、と伝えておいてください
当の本人もかわいそうでね。支えになるものがないと立ち直れなさそう。Dos PassosのManhattan Transferなど、彼女よりもどん底の本を読んで、奮い立たせるとか、ショック療法はどうなんだろう。
ショック療法は、経験者の立場からいうときかない。どん底の時に一緒にみたカフカの十戒をいまでもおもいだす。めちゃくちゃ落ちこんだよ。
ReplyDeleteところで、チャーリーが彼女の庭に行ってほえているので、M君を遣いに出して30分。おばちゃんと仲良くお話しているよ。そういうほのぼのが必要なのだと思う。敷地の外には、子供たちが小さい時に読んだであろう絵本が山と積まれている。よ~く今まで持っていたねと思う。私はなんでも寄付して始末してしまうので。
カフカね、アレは笑いました。あまりに私の意図と正反対な話で。十戒だっけ、なんか違うなぁ。
ReplyDelete家が競売にかけれらて、出て行くあてもないのに引っ越しの準備、おまけに家族との確執もあるなんで、想像しただけで苦しい状況だ。そこそこ幸せに人生を乗り切る人と、沢山の苦しい出来毎をくぐりぬけなきゃならない人生と、一体どこに違いがあったのでしょうか?こういうことを研究して、幸福追求学、みたいな学問を作れば、さまざまな不幸を未然に防ぐことができるのではないかと思う。
ReplyDelete幸福追求学、おもしろそうです。
ReplyDeleteこの引っ越しで彼女が何かに気づき、今の状態からぬけだせるような変化がおこるとよいです。
そして子供たちがよりたくましく乗り越えていけますように。
苦難の中での微笑みの貴重なこと。Mくんは本当に優しい心の持ち主ですね。
本当、幸福追求学っていいと思います。カウンセリングとかって、休極右的にはこういうことなのかな、と思うんだけど違うのかしら。英語でサーチするなら、なんて表現されるのでしょう。
ReplyDeleteカフカは審判でした。審判っていうから、何か建設的な話なのかと思って、ドつぼにいらしたJubiさんを誘ったんだと思います。Like a dogっていって終わるんでしたね。
そうそう。刺されながら死に行くときにLike a dog!って言いながら。。。
ReplyDelete残念ながら、待ち伏せをしていた差押え銀行のWells Fargoの人と、日中身を潜めていたおばちゃんが夕方ばったり。恐らく今夜家を出てゆくことになろうかと。